私は製鉄会社の技術者として、設備の保全に従事していました。
39歳で退職後、システム設計事務所を立ち上げ、バランス計測器の開発に着手。これが現在のシグマ電子工業の始まりです。今では国内シェア6割を超えるバランサ専門メーカーとして、世界のものづくりの現場にも製品を供給できるようになりました。
顧客の要望を常に最優先し、現場で求められるバランス修正を提供するため、設計者が製造までをこなし自社で製品開発を行うことを重視しています。電子計測回路からサーボモーターの駆動制御、切削動作などNC旋盤の機能などもすべて自社で開発。非効率ではあるけれど、すべての工程を理解することで視野も広がる。仕組みを知っているからこそ、トラブルやメンテナンスの際にも素早く対応ができます。苦情の解決や顧客のお客様の要望を汲むことに力を注いできた結果、高い信頼を得ていると自負しています。
『多速度・多面法』という新たなバランス修正法を用いた「フィールドバランサ」は、低速から超高速回転域まで、運転全域を高精度に計測できるバランサとして業界で初めて製品化に至りました。従来型ではローターのある一定速度の回転下でしか計測することができなかったものが、多速度計測を行い、その結果を「最小二乗法」を利用し演算することで、運転すべての回転領域での修正を可能にしました。
この製品は現場での評価が高く、さまざまな分野から引き合いが相次ぎました。
そしてこれまでの実績が評価され、平成18年には精密工学会中四国支部技術賞を受賞。平成21年には経済産業省より「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれ、さらに平成25年3月には日本機械学会中四国支部から技術貢献賞を受賞しました。
現在の状況に満足することなく、今後も製造現場で求められる製品を提供していきます。
先進的な技術で静かな機械を作りたい。振動計測機器の分野にも開発を広げ、ますます世の中で役に立つ製品が生まれることを楽しみにしています。